「雨ニモマケズ、風ニモマケズ、夏ノ暑サニモマケヌ、丈夫ナカラダヲモチ・・」、宮沢賢治の有名な詩です。 私はこの詩がとても好きで、年末の辛い大掃除のときなど、よく口ずさみながら気持ちを奮い立たせていました。けれどそのやり方が、自分をとても疲れさせていることに気づき、昨年末の大掃除は大きく変えてみました。大好きな音楽を聞きながら、軽快な気持ちで、頑張らず踏ん張らず淡々とこなすことを大切にする。もちろん掃除道具を持つ手の力は抜きませんが。 きれいになれば気持ちよく暮らせる。そんな当たり前のことを忘れて、体裁ばかりを気にしてしまうあさましさが、余分な力を生み出し、自分を疲れさせる。それは、だんだんと気持ちを重くし、自分らしく楽しく生きることを忘れさせていた。前から気づいていました。でも、「あの人がこう言っていた。」とか嬉しくない言葉を耳にすると、とたんに掃除をする目的が変わってしまいます。そんなこと何年も繰り返してきました。どこかでその「あの人」を恨みながらの行動は、やはり余分なエネルギーを使っているんですね。とても疲れました。心軽やかにこなせた大掃除の評価は、今までと何も変わりませんでした。でも、私の疲れ具合には大きな変化があったことは確かです。 宮沢賢治のこの詩で、今よく口ずさむ部分は、「ジブンヲカンジョウニ入レズ二」のくだりです。人の目ばかりを気にしていた私、どう見られているんだろう、よく見られたい、いい人って思われたい。その気持ちが自分自身を追い詰めていた。自分らしさを大切にしなさいとかよく耳にしますが、理解できているつもりでも、なかなか心には届かず本当に大切にしなければならない事を見(み)失(うしな)っていました。 こんな失敗を、これからもまた同じように何度も繰り返して生活していくのでしょうが、その度に「ジブンヲカンジョウニ入レズニ」を口ずさみながら、力を抜いて、笑顔をひとつでも多く生きて行きたいものです。
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