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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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テレホン法話 2013年  

  放送日 タイトル 法 話
476 2013年11月21日〜 命のお約束 第18組随願寺 諏訪邦充

 ぴんころ地蔵というお地蔵さんを聞いた事がありますか?
 長野県の成田山参道にあるお地蔵さんだそうです。それは、健康のまま天寿を全うするという意味で「健康で長生き(ぴんぴん)寝込まず大往生(ころり)」という願いをこめて建立されたそうです。
 日本の平均寿命が世界一となった昨今、多くのお年寄りが、病気で長いこと苦しまないように、また家族に介護の負担をかけずに死んでいきたい「ぴんぴんころり」の願いを掛けにお参りに来られるそうです。
事実、ある新聞による40〜70歳代の男女735人を対象にした調査によると、75.9パーセントの人が、「ある日、心臓病などで突然死にたい」と答え、80パーセント以上の人が「家族に迷惑をかけたくない」と答えているそうです。
 先日、うちの檀家さんで、まさにこの「ぴんぴんころり」をされたお婆さんがおられました。その方は御歳97歳、大きな病気もされた事がなく、毎日の日課は墓参りに畑仕事、そして喫茶店通い。しかもカブで。そんなお婆さんがどんな最期を迎えたのか。それは、いつものように朝からお墓に参り、畑に行き、カブで喫茶店に行き、いつもと同じ一日を過ごし、最後に「おやすみ」と言って床につき、そのまま起きて来られる事はなかったそうです。
 近所の方は口を(そろ)えて「あのお婆さんは信心深い人だったから」とか「いい死に方をされた」とか…、その方の最期を悪く言う人はいませんでした。むしろ、その最期を(うらや)むような言葉すらありました。しかし、初七日の晩に息子さんは、自分の母の最期について、「言いたい事も言えなかった。聞きたい事も聞けなかった」と、大変悔やんでおられました。お婆さんご本人はどう思われたのでしょうね。
 人はこの娑婆(しゃば)に生まれたからには、必ず死んでいかねばなりません。これは命を頂いた時のお約束です。病に苦しんで死んでいかねばならないのか、眠るように死んでいくのか、突然事故や災害にあって死んでいくのか、このお婆さんのように、いつものよう眠りにつき、知らない間に死んでいくのか。恐らく私たちは選ぶ事が出来ないでしょう。
 本願寺第八代蓮如上人は、「仏法には、明日と申す事、あるまじく候う。仏法の事は、いそげ、いそげ」とお示し下さいました。
「仏法」すなわち「仏の教え」とは、私がいただいた「命のお約束」を(あきら)かにして下さっておられるのではないでしょうか?
 知らぬ間に別れていくのか、出会った縁に感謝して日々を過ごすのか、()くにしても、(のこ)されるにしても、今一度見つめ直す必要があるのではないでしょうか。



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