早いもので「新しい年」になって4分の1が過ぎてしまいました。みなさんは、この「新しい年」を迎えた時、何をお願いされたのでしょうか?
さまざまな不幸な出来事を見聞きされ、せめて家族だけは健康で無事であってほしいとの切なる思いから、家内安全を祈願することを習慣とされている方も多いのではないでしょうか。
神社で御神酒をいただき華やかな雰囲気の中に身を置くと、今年はきっと祈願した通りの人生になっていくように思い、安心感が生まれてくることがあるのかもしれません。しかし現実の人生は、決して自分の思い通りなっていくものではありません。なぜなら私たちは、誰でもこの世に誕生してきた以上は生老病死の人生を歩まなければならないからです。生きとし生けるものは、誰一人として老病死を免れることはできません。それは、私たちの思いをこえてやってくる厳粛な人生の事実です。老いて行くことも病むことも死んでいくことも、不老長寿を願う私たちの意識にとっては、すべて苦悩以外のなにものでもありません。
私たちは苦悩の多い現実の人生から目をそらし、自分勝手な妄執の中で夢をみがちです。このような間違った方向を軌道修正して、事実を直視し、生老病死の人生を受け入れながら、しかもそれを超えて行くことのできる道を説く教えが仏教です。
まもなくお近くのお寺では春の法要がつとまるころかと思います。それを機縁にして「仏教と深いご縁」をもっていただきますようお願い申し上げます。
そして、次の「新しい年」は、いつもと趣をかえて「お寺」にお参りいただけることを期待しております。
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