本文へスキップ

真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

TEL. 0584-78-3362

〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

テレホン法話(0584-78-3452)TELEPHONE SERMON

 テレホン法話 2014年  

  放送日 タイトル 法 話
491 2014年4月21日〜 地区の月例会にて 第8組大乗寺 国枝 真

先日、地区の月例会に出席した折(おり)、区長さんが他の皆さまに相談を持ちかけられました。
 「この前、町内の○○さんが亡くなったのだが、葬式も何もかもを身内だけで行われ、私が知った時には全てが終わっていた。もちろんそうした事をどうされるかは他人が口をはさむことではないが、それにしても同じ町内に住んでいて、そこの役員が『知らなんだ』で済むことではないと思う。(葬式などを)手伝ってほしくないならそう言ってくれれば良いので、せめて区から香典を出したり弔電を打つくらいはするのが常識だと思うのだが、どうにかならんもんかなあ…」
 大体そのような内容でした。参加されていた多くの皆さまもその意見に賛同された上で、その後しばらく話し合いが続いたのですが、なにしろ現代は個人情報保護の世の中ですし、たとえ地区の役員であっても親族等の許可がない限り、そうした情報を得る手段はありません。結局、解決策がないまま「時代が変わったなあ〜」という感じでその場は終わりました。
 以前、新聞社が行った葬儀についてのアンケートでも『簡素(かんそ)に行いたい』と答えられた方が九割以上に(のぼ)るとのことでした。おそらくそうした傾向は都会ほど顕著(けんちょ)なのでしょうが、いずれは私の住んでいる田舎町でも家族葬や葬儀をせずに火葬だけする希望が増えるのでしょう。またそうした価値観になると、この区長さんたちの「社会通念」も、もはや古臭く面倒臭いものとして映るのでしょうか。
 もちろん本人の意向や自由は守られてしかるべきであるし、何よりも最愛の家族だけが故人との最後を共にするというのは、ある面、理想的にも見えます。
 ただ、その一方、どこか見落としがあるような気もいたします、好む好まざるに関わらず、人間がこの世に生まれることは、即ち大勢の人々が生きる社会に身を置くことであって、言わば「生きる」とは「人と関わること」だと言っても過言ではないでしょう。
 赤ん坊でさえ生まれたその瞬間から、それどころか生まれる前からすでに多くの人々のお世話になっているものです。
 だからと言っては短絡的(たんらくてき)かもしれませんが、その方にとっての最後も、できるだけ大勢の方に関わっていただく形にすることが、関わりの中で生きてきた歩みの集大成としては、やはり自然な形のようにも感じます。
 それにもっと単純に、区長さんたちのように、言わば「アカの他人」から「できれば声をかけてほしかった」と思っていただけることは、実際ありがたいことではないでしょうか。これは何も葬式のような特別な状況に限らず、あらゆる日常に当てはまることかと思いますが、よく「現代は人間関係が希薄(きはく)になった」と言われます。しかし、それは実は「人間関係としては昔と同様に依然として存在しているのに、支えあって生きているその事実に気付かず忘れがちになっている」だけのことなのではないでしょうか。
 時代が新しくなるほど確実に価値観は多様化しますが、少なくとも、他人の親切を親切として受け取れる気持ちだけは持っていたいものです。



バナースペース

真宗大谷派大垣別院開闡寺

〒503-0897
岐阜県大垣市伝馬町11番地

TEL 0584-78-3362
FAX 0584-78-3328
E-mail kaisenji@ogaki-gobosan.net