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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

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 テレホン法話 2017年  

  放送日 タイトル 法 話
583 2017年10月16日〜 いつも一緒 第11組 長正寺 杉本季利子
 先日、今年の春に高校生の息子さんを亡くされた友人から「毎日泣いてばかりでご飯も食べられない」と連絡があり、心配して訪ねてみました。すっかり()せてしまった友人は「忌明(きあ)けを迎えた時、周りの人から”これで息子さんも成仏できたんだから、あなたも早く忘れて元気になりなさい”と言われた。でも、忘れることなんてできない。成仏したって言うけど、私のゆうくんはどこへ行っちゃったの?私を置いて行かないで」と涙を流します。
 そんな彼女に、自分の体験を話すことにしました。私は、昨年11月に姉を亡くしました。突然の病に倒れ、父から連絡を受けて病院に駆け付けた時にはもうほとんど意識はなく、ただ静かに寝息を立てるだけの姉に私の子供たちが「おばちゃん、来たよ」と手を握るとパッと目を開け、「また来るね」と声をかけるとコクっと(うなず)き、そして再び静かに目を閉じると、その後は目を開けることがないまま、翌日穏やかに息を引き取りました。
 その時私は、自坊の報恩講の真最中で最期に立ち会うことができず、夜になってようやく会えました。両親や親族が泣き崩れている中で眠る姉の顔はとてもきれいで、まさに美しい仏さまを見ているようでした。手を合わせると「報恩講お疲れ様。来てくれてありがとう。」という姉の声が聞こえた気がしました。その声を聞けた私は穏やかな気持ちになり、寂しさを感じないまま通夜(つや)告別式(こくべつしき)を過ごしました。
 あれからもうすぐ一年が経ちますが、不思議なことに私は一度も涙が出ません。悲しいはずなのに何故なのか、その答えは葬儀の際に私の従兄が伝えてくれた言葉にあります。「手を合わせればいつでも会える」そう、私はいつも姉と一緒なのです。くだらない話で笑い、美味しいねと言いながらご飯を食べる…どんな時も一緒だから寂しくないのです。
 友人は「そうか、ゆうくんはどこにも行ってないんだね。いつも一緒なんだね。」と笑顔を見せてくれました。さらに数日後「息子が亡くなって以来、初めて家族で外食に行った。今まではゆうくんが食べられないのに自分だけ食べては申し訳ないと思ってご飯が喉を通らなかったけど、ゆうくんと一緒に食べていると思って食べたらチャーハンがとってもおいしく感じて一皿全部食べられたよ。」と元気な声で電話をくれました。
 皆さんも大切な人を亡くされたことがあるかと思います。悲しい思いも辛い思いもされたことでしょう。でも、その大切な人はいつも皆さんのそばにいてくれます。寂しくなった時は手を合わせてみませんか?私は今日も姉とたくさんおしゃべりしています。


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