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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

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 テレホン法話 2019年  

  放送日 タイトル 法 話
622 2019年6月1日〜 子育てに見る分別 第18組 応声寺 河合文香
 赤ちゃんの4ヶ月健診があり、息子を連れて初めて保健センターに行った日のことだった。それまでは家でばかり過ごしていた為、他の子どもが気にならない生活を送ってきたが、ロビーに着いて見渡せば、同じ月齢の4ヶ月児がずらりと集まっているという、初めての場に居合わせた。そして、あの子は丸々太っているなとか、あっちの子はわんわん泣いて手がかかりそうだとか、気が付けば息子との比較ばかりしていた。そんな中、健診で首のすわりが不十分だと指摘を受けた。保健師からは、一ヶ月後にもう一度見せに来てと言われ、保健センターに来るまでは暢気(のんき)に構えていた私だったが、他の子どもたちを見たり、医師や保健師から指摘や追加の確認を求められたりしたことで、「うちの子は遅れてるんだ」「後れを取るまい」と急にショックと焦りが、私の心の中でぐるぐる渦を巻きだした。多くの知人から「あなたは真面目だから、育児書やインターネットの情報なんかに頼っちゃだめよ。教科書通りにはいかないのよ」と散々言われていたのに、「私の何がいけなかったんだろう」と調べずにいられなかった。
 自己中心的なモノへの執着のことを、仏教では分別と言う。人と比べることでしか、自分の幸せを(はか)れない人生は悲しい。比べる心を乗り超え、他人に振り回されず、一人一人が置かれた状況で、精いっぱい生きることが素晴らしいと教わっていながら、かく言う私も縁さえあれば自分を見失い迷うのだと、子育てを通して親の私までもが、お育てを頂いている日々である。
 大人が子どもを「良い子だね」と褒めることがよくあるが、良い子とは結局のところ、親にとって「都合の良い子」のことなんだろうと感じる。近年は、児童虐待相談対応件数も、過去最多レベルで推移していると聞く。このような時代でも、自分の理想に逃げ込んだり、受け入れがたい現実に目を伏せたりすることなく、事実を事実として受け止める子育てができるか。母親として歩みを始めた、私の大切にしたい問いである。


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