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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2020年  

  放送日 タイトル 法 話
646 2020年6月1日〜 コロナウイルスで変わったもの、変わらないもの 第6組 総福寺 和田祐己
 このところ、新型コロナウィルスの感染拡大が止まらず、社会のあらゆるところに影響が及んでいます。連日のように感染者や死亡者の数が報道され、近隣の地域ともなれば、より一層警戒心が強くなります。人との接触を避けるように求められ、学校の休業は長期にわたり、商売もままなりません。当たり前の日常を取り戻せるのがいつになるのか。先の見通しが立たない状況はなお不安をかりたてます。
 マスクや消毒用のアルコールなどの物資不足も深刻です。先日、こうした世の中の状況を受けて書かれた新聞社説が目に留まりました。「空気は生きるのに欠かせないが、タダである。いくらでもあるからだ。ダイヤモンドは不可欠とはいえないけれど、少ないがゆえに()が張る。資源やものの経済的な価値は希少性(きしょうせい)による。(中略)希少性を急速に高めたものといえば、マスクをおいてほかにないだろう。」今やマスクはダイヤモンドに匹敵するほど希少となっています。今年はじめ、店頭で品薄となり始めると奪い合うように買い占めがなされ、高額転売が横行し、それを禁じる政令まで出されました。最近では、国内で医療用マスクの生産を増やしているようですが、その材料費は何十倍にも高騰しているとのことです。需要と供給によって価格が変動するのは、市場原理として当然ですが、マスクにこれほど翻弄(ほんろう)されることを誰が想像できたでしょうか。私たちが生きるこの世は、一見平和にみえたとしても、何かのきっかけで価値観が一変し、さながら地獄のようになってしまう、実は非常に不確かなものであると気づかされます。まさしく当たり前と思っていたことが、当たり前ではなかったということでしょうか。
 一方で、こんな不確かな世の中でも変わらないものがあります。それは命の(いとな)みです。コロナウィルスに関係なく、季節は巡って草木は芽吹き、花を咲かせました。人間も同じです。どれほど社会が自粛をしようとも私たちの思いや都合とは関係なく、新しく生まれる命、寿命を迎えて終えていく命は待ったなしです。こうした命の営みは不変であり、制御できるものではありません。この私の思いを超えた命の真実を仏教では「仏のはたらき」として受け止め、あるがままの命を精一杯生ききることの大切さが説かれてきました。
 新型コロナウィルスは確かに恐ろしく、一刻も早く収束して、当たり前の日常が戻ってくることを願う気持ちに変わりはありません。しかし、それは目先の平和でしかないでしょう。あるいは、自分の身の回りの平和でしかないのかもしれません。いつでも、だれにとっても変わることなく大切なことが何か、見失わないように、仏の教えを依りどころとして生きていくことが、私たちに願われています。今一度、自分自身の姿を見つめ直さねばなりません。


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