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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2020年  

  放送日 タイトル 法 話
651 2020年8月16日〜 他人の姿は、私の姿 大垣教務所 野々山祥寛
 新聞やニュースを見ていると、毎日非常に多くの様々な事件・事故に関する記事を目にします。特にインターネット上の記事には、そのような事件・事故に対する読者からのコメントが掲載されています。そのコメントをみると、正義感から事件・事故を起こした方を辛辣(しんらつ)に非難する内容も少なくありません。もちろん、コメントを挙げておられる方は、「自分は間違ったことを言っているわけではない。過ちを正しているだけだ」ということであり、「自分は絶対に大丈夫。このような事を起こすはずがない」と固く信じておられるのでしょう。
 しかし、実はこのような事はどれだけ注意していても、どんな状況であっても誰にでも起こりうる事なのではないでしょうか。『歎異抄(たんにしょう)』という書物の中で親鸞聖人(ぢんらんしょうにん)
  さるべき業縁(ごうえん)のもよおせば、いかなるふるまいもすべし(『真宗聖典(しんしゅうせいてん)』634頁)
と仰られています。
 実際に、「大学アメリカンフットボールの危険タックル問題」や「家族や医師による嘱託殺人」など本当は正しいことではないと分かっていながらも、そうせざるを得ない状況において起きてしまった事件は少なくありません。親鸞聖人は、日常的に起こっている様々な事件・事故は、縁次第で誰しもがそのような事を起こしかねない可能性を持っていると示されています。
 しかし、残念ながら私たちにその自覚はありません。このことは、蓮如上人(れんにょしょうにん)が『蓮如上人御一代記聞書(ごいちだいきききがき)』の中で
  人のわろき事は、()()くみゆるなり。わがみのわろき事は、おぼえざるものなり。                     (『真宗聖典』890頁)
と示されているように、自我を自己として(とら)え、自分にとっての良し悪しで物事を判断し、常に自分を正当化する私たちには自分自身の姿を自覚することは難しいのでしょう。
 先ほどの『歎異抄』の言葉は、このような常に自分を正しい立場に置き、自分と異なるものを誤った立場として否定する私たち人間の姿を指摘したものでもあります。思い返してみれば、私自身も自分のことを棚に上げ他者を非難したり、自分を守るために他者を指摘したりと、反省ばかりです。
 ことわざにも「人のふり見て我がふり直せ」というものがありますが、日常生活の中で、人の嫌なところや欠点を見つけた時には一度立ち止まり、親鸞聖人や蓮如上人の言葉を思い起こして自分はどうだろうかと振り返ることで、その人を非難するのではなく、思いやることができるのではないでしょうか。


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