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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

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 テレホン法話 2020年  

  放送日 タイトル 法 話
657 2020年11月16日〜 今、いのちがあたなを生きている 第9組 専称寺 森 専正
 先日、自坊でお彼岸のお勤めをしました。法要の準備をしていると、しばらくして三歳になる娘がやってきて、私の父の遺影を指さして自分が赤ん坊の時に亡くなった「じいじ」だと言いました。もちろん娘は覚えていたわけではありません。けれども、娘が話せるようになってからは何度も言い聞かせていたので、娘はその写真が自分の祖父だと覚えていました。
 父は二年前に亡くなりました。私は父のことが好きでしたが、世間的にはいい年をした息子が、父にそれをストレートに伝えるのは何となく正しくない事のような気がして、私は常に素っ気ない態度をとっていました。もしかしたら父は寂しかったのかも知れません。それだけが私の心残りでした。
 そんな事を考えてしんみりしていると、娘が突然「パパ、がんばって!」と私を励ましてくれました。私は自分の事を、父を失った息子だと思っていましたが、娘にとっては、私が父です。父を思う私が、父を思う娘に思われている。今わたしが娘に感じているような思いを、父も私に感じていたのではないだろうか。そう考えると、私は救われたような気持ちになりました。
 思えば、人間という言葉が人の間と書くように、父と私と娘のやり取りの中から人としての繋がりを感じました。つまり、私一人では「人」にしかなれません。誰かとの繋がりがあって、初めて「人間」となるのだと思います。この気づきは、亡き父や娘といった周りの人、そして先に生まれて私に仏縁を授けてくださった、無数の方達の存在がないと起こらなかったと思います。このように、私に真実を気づかせてくれる全ての人達を、仏教では「諸仏(しょぶつ)」と言います。
 また、それと同時にこの事は、私にいのちの在り方にも気づかせてくれるものでした。父と私と娘の思いが繋がっていたように、父と私と娘は同じいのちを生きている。つい、毎日の生活の中では「私のいのち」と思って生きていましたが、「いのち」とは、私の思いの中だけに納まるものではないという事です。宗祖親鸞聖人七五〇回御遠忌テーマであった「今、いのちがあなたを生きている」という言葉が、今回の事で初めて私に届きました。


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