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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2021年  

  放送日 タイトル 法 話
661 2021年1月16日〜 仏様の悲しみ 第1組 等覚坊 稲葉亮道
 以前、台風が逸れた時のことだ。「良かった」と思った。台風だけではない。この辺りは、大地震や水害が起きておらず、コロナウイルスの感染者数も少ない。「ありがたい」と思う。しかし、「待てよ」と思うのだ。この辺りだけ良ければいいのか。台風が直撃し、亡くなった人、家が壊れた人もいる。世界では、現時点で6090万人がコロナウイルスに感染し、143万人が亡くなっている。また、日本ではコロナ差別に苦しむ人も大勢いる。結局のところ、私は自分さえ良ければいいのだ。私が無事なら、それでいいのだ。親鸞聖人は「悪性(あくしょう)さらにやめがたし」と言われた。認めたくはないが、私のことだ。
 ところで、仏様の悲しみを「無縁(むえん)大悲(だいひ)」という。生きとし生けるもの全てを悲しんでくださる。選ばない、嫌わない、見捨てない。さらには、「大悲無倦常照我(だいひむけんじょうしょうが)」である。これは『正信偈(しょうしんげ)』の言葉だ。いつでも、どこでも、私を照らしてくださる。その光によって私の真実の姿が思わず見えてくる。つまり、聞法する、仏法を頂くということは、そのような仏様の悲しみを頂くことだ。
 東北大学大学院教授であり、ウイルスを専門とする医師、押谷仁氏はテレビで次のように言われた。
  世界は自分たちさえ良ければいいという方向で来た。しかし、それではこのウ  イルスは封じ込められない。
 思えば、人は有史以来、自分たちさえ良ければいいと生きてきた。それ故、殺し合いや争い、差別、排除を繰り返すのだろう。間違っていることも分からない。また、たとえ間違っていると分かっていても、悪性をやめられないのだ。人はコロナ禍でも変わることができない。だからこそ、「無縁の大悲」に照らされるのだ。人は悲しき存在である。
 先日も、アフガニスタンの首都カブールにロケット弾が撃ち込まれ、市民八人が亡くなり、三〇人以上が怪我をしたという報道があった。思わず、言葉にならない悲しみが込み上げてきた。自分中心に生きる私だが、この悲しみを大切にしたい。


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