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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

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 テレホン法話 2021年  

  放送日 タイトル 法 話
673 2021年7月16日〜 蓮と夏の御文 第4組 明看寺 新田啓真
 毎年この時期、私の住む地域では、()御文(おふみ)が勤まります。各寺にご住職が集まり『仏説阿弥陀経』を約30巻ほど勤めます。お勤めをする自坊の境内には、今年もたくさんの蓮の花が咲きました。昔からご縁のあった三河地方の寺院より4年前に頂いた、この蓮を育てていく中で、お勤めをする私の心に少し変化が起きました。
 蓮は春先に植え替えをします。前の年の根が、蓮鉢の中にびっしりと張っているので、それを取り除き蓮根を分けていきます。新しい蓮鉢の中に、泥土や肥料を入れ、蓮根を埋めて植え替えを終えます。
 今まで、自分から進んで花や木を育てたことのない私にとって、この蓮の植え替えや成長は、新しい気づきの連続でした。暖かくなると、葉がぐいぐいと伸びてきて、次々と蕾をつけていきます。真っすぐ伸びるもの、曲がっていくもの、大きいもの、腐っていくもの、それぞれが色々な形でありのままに成長する姿を見る度に、これまで物事に対して、「こうあるべきだ。こうでなければならない。」といったある種(かたよ)った考えを持っていた私が「違いがあってもそれぞれでいい」と感じるようになりました。夏の御文で勤まります『仏説阿弥陀経』の一節に
  池中蓮華(ちちゅうれんげ)大如車輪(だいにょしゃりん)青色青光(しょうしきしょうこう)黄色黄光(おうしきおうこう)赤色赤光(しゃくしきしゃっこう)白色白光(びゃくしきびゃっこう)微妙香潔(みみょうこうけつ)
                         (『真宗聖典(しんしゅうせいてん)』126頁)
とあります。これは阿弥陀仏の浄土の池に咲く、大きな車輪のような蓮の花に例えて、私たち命あるものの本来の姿を表したものです。人間の思いが絶対化された現代では他と比べ、よりすぐれたものを手に入れることが良い事だとされ、それを手に入れるために苦労し、苦悩しています。しかし、青・黄・赤・白、様々な色の花が、それぞれの色で光り輝く様に、私たち一人一人もそれぞれの色で光り輝く、この世にたった一つしかないかけがえのない尊いいのちなのです。このことに気づかさた時、ありのままの自分を受け入れることができ、気持ちが軽くなった気がしました。
 コロナ禍で、去年までの生活様式が一変し、何かと自粛自粛で窮屈な日々を過ごしております。今まで、普通に交流していた方との関係が希薄になっていったこの一年を振り返り、なにげなくあった日常の大切さを噛みしめています。
 今、目の前にあるものを改めて見てください。新しい気づきと共に、自分としての歩みと出遇えるはずです。本当に大切なものはそれほど多くないのかもしれません。私は蓮や夏の御文を通して、このようなことを染々と感じております。


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