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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2022年  

 № 放送日 タイトル 法 話
688 2022年3月1日~ 伯母の死を通して 第2組 正受寺 大橋知生
 昨年の4月に私の伯母である母親の姉が亡くなりました。満64歳という若さでした。私の伯母です。私が生まれた時も弟が生まれた時もお世話になり、かわいがってくださいました。家にお邪魔して、遊んでもらえるのが楽しみだったことが思い出されます。
 伯母は、癌でした。手術をし、しばらくは元気になりましたが、その一年後に再発しました。しかし、入院はせずに月に一回の日帰り点滴の治療に通いながら、自宅で暮らしていました。週に三日は働きに出て、時にはドライブや旅行を楽しんでいる姿は、私の目には癌だと聞かなければわからないくらい元気に見えました。しかし、亡くなる半月前に祖母の七回忌を勤めた時にはさすがに座っているのが辛そうにみえました。伯母はその後、さらに体力がなくなり歩けなくなりました。それでも入院はせずに、家族の納得のもと、在宅介護を受けて家で過ごすことを選びました。そして、そのうち十日後に家族全員に囲まれ、口々に「ありがとう。」と声をかけられ、亡くなりました。
 母は、伯母の葬儀のあと、「癌は、自分もまわりの人も死に対しての覚悟ができるし、本人は、死と向き合って死の準備をしながら生きられていいね」と言っていました。もちろん、癌にはなりたくないし、身近な人にもなってほしくはないし、別れたくはないのです。でも、癌になってしまった伯母は、いのちのある限り、最後の最後まで自分らしく生きていたと母は言っていました。悲しいお別れをしながらも、人はこうやって死んでいくのだという死に様を見せられた気がしたとも言っていました。
 在家で生まれた伯母は、自分の母親が亡くなってから、私のお寺で勤める永代経(えいたいきょう)報恩講(ほうおんこう)の時に足を運んでくださるようになり、熱心に聴聞(ちょうもん)するようになりました。癌になってからも、報恩講にお参りしてくださいました。母は「姉が癌になっても前向きに生きられたのは、「南無阿弥陀仏」のおかげじゃないかな」と言っていました。癌と聞くと一般的にはかわいそうにという気持ちがよぎりますが、癌になったことで、南無阿弥陀仏に出遇い、命と向き合うことができたということではないでしょうか。
 癌とわかっても、生きる気力を失うことなく生きられたのは、法話を我がごととして聞いて、導かれながら歩みを進められたからではないでしょうか。だからこそ、癌という病の事実を受け止め、癌と向き合いながら、最後まで伯母らしく生きられたのだと思っています。


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