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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2023年  

 № 放送日 タイトル 法 話
723 2023年8月16日~ 病患を得て、何を得る 第6組 宗休寺 津汲智麿
 最近、45年の人生の中で、初めて救急車を要請し、病院へ緊急入院をして、二週間過ごすことになりました。健康・体力には自信があり、今までインフルエンザやコロナにも一度も(かか)ったことはなく、菌への抵抗も強いと自負し生活してきました。しかし、今回病気になったことで、命に別状はないものの、動くことのできない痛烈な痛みや仕事の欠勤など、様々な初めてを経験させていただく中で、この文章が、頭の隅をよぎりました。それは「病患(びょうげん)の御文」という呼び名がつけられている、御文4帖目13通「秋さり春さり」の中にある
  「浄土を願う行人(ぎょうにん)は、病患をえて、ひとえにこれをたのしむ」とこそおおせられたり。しかれども、あながちに病患をよろこぶこころ、さらにもって、おこらず。あさましき身なり、はずべし、かなしむべきものか。
                      (『真宗聖典』829ー830頁)
という一文です。この御文は蓮如上人が84歳の時、年齢のこともあり体に異変が起こり、自分もこれで死を迎えるのかと、ご自身の思いを書き記したものです。特に頭をよぎったこの部分は、蓮如上人が法然上人の言葉を引用して、法然上人は病気を喜ばれたが、自分はそれを喜ぶことができない。あさましい身であり、はずかしいことだと言われた部分になります。
 今回、病気になり、入院して辛いと思い、痛みが無くなると有り余る時間を持て余している自分がいました。法然上人のように病を楽しむことは難しい・・・だけども、現状から得るものもあるはずだと考えてみることにしました。「入院し辛い思いを経験して、門徒さんの入院経験に心から(うなず)けるようになった。」「健康は何より大事ということが心から実感できた。」「自分の好きな時に、好きな場所へ行けることのありがたさを実感できた。」「時間・暇の持て余しは何より辛い。」「忙しいことは、もしかして貴重なのかも。」など、今まで当たり前だと思っていたことが、実は有難い(有ることが難しい)ことだと気づかされました。
 蓮如上人と同じく、私もあさましき身であり、病患を得て楽しむことはできませんでしたが、病患を得て、今を無事に生きていることへの感謝、どんな忙しくとも体を心配して、毎日お見舞いに来てくれる家族、退院後暖かく迎え入れてくれる人や場所があることを実感することができました。本当にありがたいことです。そして、忙しさに追われ慌ただしい日々でさえ、貴重で大切な日々であると確認でき、これからも懸命に頑張ろうと、決意を改めることができました。


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