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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

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 テレホン法話 2025年  

 № 放送日 タイトル 法 話
775 2025年10月16日~ 亡き人から案ぜられる私 第14組 存徳寺 柏尾真道
 今年、ある友人のお祖母さんのお通夜に参列する機会がありました。その友人は、能登のお寺の住職で、昨年の能登半島地震により被災し、本堂、庫裏共に大きな被害を受け、その地では住めない状況となりました。ご家族皆が、能登の土地を離れざるを得ない状況となった中で、九十八歳のお祖母さんが最後まで能登のお寺を離れることを拒んでおられたようです。能登の地で、七十年あまり坊守としてお寺を守り続け、そのお寺を離れることの辛さは、察するに余りあることです。最後は拒んでおられたお祖母さんを、友人がおんぶする形で、お寺を後にしたとのことでした。能登から離れた遠方の地での生活、慣れない場所、環境の変化に、ご家族皆が、お祖母さんを心配し、気遣いながら案じて過ごしておられました。
 そんなある夜、友人とお祖母さん、娘であるお母さんが、三人で川の字になって夜寝ていた時、お祖母さんがトイレに起きられました。夜中トイレに向かうお祖母さんは、腰を曲げ、這いずりながらやっとの思いでむかっていく姿でしたが、そんな中、七十代の娘の布団をかけなおし、五十歳近い、孫の布団をかけなおす、お祖母さんの姿があったといいます。
 それから、しばらくして、お祖母さんは亡くなっていかれましたが、お通夜にて、友人が参列者への挨拶の中で、「そんな祖母の私たちを気遣う姿を見て、亡き人を案ずる私が、亡き人から案ぜられているという言葉がありますが、その言葉の意味が本当に身に沁みました。」と語っていました。慣れ親しんだ土地を離れて、体調や、生活の変化に対して、家族皆が案じていた中で、実は、お祖母さん自身がご家族を誰よりも案じ、気遣っていたことが分かったと。案じていただいておったのは私であったということが、しみじみと伝わってきたと語っていました。亡き人を案じる、願う私こそが、願われている、案じていただく身であった。
 亡くなった方を「弔(とむら)う」という言葉があります。「訪(とぶ)らう」が語源だという説もあるようですが、その方の言葉やお姿を訪ねていくというのが本来の意味だと言われています。そこには、迷いの世界に生きている私たちからの、単に「冥福を祈る」というような一方的な思いではなく、その方を訪ねながら、亡くなった方から私たちへ、大事に大事に生きてください、という命の願いに出遇う、願われている案ぜられている私であったということに気づいていく、そんな大切な意味が込められているのではないでしょうか。



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真宗大谷派大垣別院開闡寺

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