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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2021年  

  放送日 タイトル 法 話
662 2021年2月1日〜 煩悩に育てられる 第16組 了圓寺 稲岡智子
 先日、何気なくラジオを聞いていたら「私は、いつも周りの人と自分を比べては落ち込んでしまいます。」という、お便りが紹介されていました。そして、このお便りに対して「比べなくていいんだよ」というコメントがリスナーの方からありました。私は思わず、「比べたくなくても比べちゃうんだよー」と言ってしまいました。
 ひとりひとり、見てきた世界も与えられた境遇も、感じ方も何もかもが違うわけで、そもそも、全てのいのちがあらゆる縁によって生かされている、尊いいのちですから比べる必要もないですし、比べられるものなどないはずです。
 しかし、私は比べてしまうのです。勝手に比べて、自分の方がすぐれている等と勘違いしたときには鼻を高くしうぬぼれて、そうでないときは、「いいな、あの人は」「なんで私は」と(ねた)む心や卑下(ひげ)する心にさいなまれます。比べる心から解放されたなら、どれだけ楽になれるだろうと思います。私の好きな御和讃(ごわさん)に、
  罪障功徳(ざいしょうくどく)(たい)となる こおりとみずのごとくにて
  こおりおおきにみずおおし さわりおおきに徳おおし
               (「高僧和讃・曇鸞20」『真宗聖典』493頁)
というものがあります。どういうことかと申しますと、
  罪や(さわ)りは、そのまま功徳のもとになるのです。その関係は氷と水のようであり、氷が多ければ多いほど、溶けたときの水は多くなります。同じように罪や障りが多ければ多いほど、(のち)に得られる功徳も多いのです。
            大谷大学HP「きょうのことば2010年5月分より」
 つまり、この比べる心という障りが私にとっての功徳となるのです。その功徳は、比べることで得る優越感などではありません。比べようがない、何ものにも縛られることのない喜びです。つい比べてしまうという、私を苦しめ悩ます根深い煩悩が、ある時ふっと「比べなくていいんだ」と解けるのです。これは、いくら頭で「比べなくていい」と分かっていても、比べてしまう時にはしょうがないのだと思います。時と機が熟して、自然に「比べなくていいんだ」と解放されたとき、自分の愚かさと、そんな自分を生かしてくださる世界に、手が合わさります。すると、不思議なことに「比べる」という煩悩そのものすら、有り難く頂くことができるのです。ろくでもない、どうしようもない私だからこそ、絶え間なく煩悩が私にはたらき、私にお念仏を与え、育ててくださるのですね。


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