№ | 放送日 | タイトル | 法 話 |
---|---|---|---|
689 | 2022年3月16日~ | 有る事は難い事 | 第11組 浄休寺 竹中宜史 |
皆様は日常の中に失って気付かされた事はありますか? 一昨年度の当院における永代経・報恩講は、新型コロナウィルス感染防止の為、法要の内容を大きく変更し行いました。通常ですとご法話があるのですが、総代さんと相談をし、ご法話は無しにして勤行だけを行う事となりました。新型コロナウィルス蔓延以前は、当たり前の様に勤行の後に聞かせて頂いていたご法話ですが、聞くことが出来ない状況に直面してはじめて、聞かせて頂いていた時の大切さ有難さを実感し、同時に無くした事への寂しさを感じました。 私事ですが、一年半程前に家族で飼っていたハムスターが老衰で亡くなりました。その命の姿は、お釈迦様がお説きになられたみ教えの如く「生まれ、老い、病み、死んでゆく」といういのちの真実を、小さな身体を通して、二年半という時間の中で我々に教えてくれた様に思います。お別れに際し、最後にしてあげられる事を子ども達と一緒に考え話し合った結果、お墓を用意し、お葬式をしてあげることになりました。読経をし、土を掘り、亡骸を納め、埋めてあげようとした時に、長男が泣きながら「有難う」と手を合わせていました。その姿を見て「本当にその通りだな。」と気づかせてくれた事が、今でも思い出されます。存在してくれていた事、色々な偶然が重なり一緒に過ごした日常がとても尊い事、難い事であったのだという事を彼の姿が、自分に教えてくれた様に思いました。 有難うという言葉は「有る」という一字と「難しい」という一字が繋がり表されています。私の生活において、ハムスターという存在の大きさに中々気づく事さえ難しく、存在していて当たり前の中で、失ったり無くして、初めて「有る事が難い事であった」という真実に、私が出遇わせて頂きました。 改めて、生老病死という私たちの身の事実を大切な存在の死を通して、日常生活の中から教えて頂いた様に思います。動物も人も世界中何処を探してみても、同じ存在なんて一つも居ません。気づけていないだけで、家族の存在・周りの人との会話・そして仏様など、有る事が難い存在は日常生活の中に、無限の様に有ると思います。家族と共に、失ったいのちからいのちの真実に気付かせていただいた、大切な存在との別れであった様に思います。 |
〒503-0897
岐阜県大垣市伝馬町11番地
開所時間 9:00~17:00
(毎月第1、3日曜日 事務所休)
納骨堂参拝 9:00~16:00
TEL 0584-78-3362
FAX 0584-78-3328
E-mail kaisenji@ogaki-gobosan.net