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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2022年  

 № 放送日 タイトル 法 話
699 2022年8月16日~ 『いただきます』というご縁 第3組 正光寺 田中元樹
 皆さんはご飯を食べる前に、手を合わせて「いただきます」という挨拶をしていらっしゃいますか。最近、学校で給食を食べる前に、いただきますをしなくなったと耳にしました。宗教的で学校教育の場に相応(ふさわ)しくないからだとか、給食費を払っているからとか、意味がわからないからというのが理由だそうです。
 そもそも、「いただきます」とは誰に対して言っている言葉なのでしょうか。昔から日本人の根底には、自然崇拝思想があります。その為、身の回りのあらゆるものにはいのちが宿っていると信じ、それらを大切にしてきました。食べ物に対しては特にそうです。私達が口にする食べ物は、ほぼ全ていのちを有するものです。肉や魚は動物の肉です。野菜やお米といった植物にも、いのちが宿っています。
 また、仏教の世界では人間と他の生きものを区別せずに、みんな平等に一切衆生(いっさいしゅじょう)と呼んでいます。食事とは、この衆生のいのちをいただく行為です。食事の前の「いただきます」は、私達の生きる糧となってくださったいのちと、それと巡り合うことのできたありがたいご縁への報恩謝徳(ほうおんしゃとく)の言葉です。「いのちを有難くいただきます。」「おかげさまで今日も生きられます。」「多くのいのちの上に生かされていることを、しっかりと受け止め生きていきます。」そんな意味が込められた、大切な言葉なのです。
 こうした食事に込められた意味を見ず、「いただきます」といのちへの感謝を述べないまま食事をするのは、ただ単に栄養を摂取しているだけです。機械に燃料補給をしているのと、大差ない行為になってしまいます。
 今の私達の社会は、街に出ればどこにでも食べ物が溢れています。食べ物が簡単に手に入るようになった為に、私達は多くのいのちの上に、私のいのちが成り立っていることへ感謝することを、忘れてはいないでしょうか。食事への感謝を忘れた時、同時にいのちへの感謝も忘れているのです。
 そして、仏事の際のお食事をお(とき)と言いますが、「斎」という文字には飲食を慎んで、心身を清めるという意味合いがあります。私達は今こそ食事に対する、慎み深い気持ちを思い出し、食事を通して有難いいのちをいただいていることを、再認識すべきではないでしょうか。


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